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「やさしい日本語」「やさしい傾聴」のコツ
いつも話したり書いたりしている言葉を「やさしい日本語」にするためには、すこしコツが必要です。ここでは、弘前大学社会言語学研修室が考案したルール※を基に日本語ボランティア活動での経験から考えた<やさしい日本語>話しことばの簡単なコツをご紹介します。
今回、ご紹介するのは「みかたさ(味方さ)」です!この4文字、つまり4つのポイントに気をつけるだけで「やさしい日本語」で話すことができます。分かりやすい日本語が必要な外国人など、少数派(マイノリティ)の人々の「味方」になってほしいという願いが込められています。
でも、残念ながらルールやコツは万能ではありません。話す相手によって調整が必要になります。このような調整は日本人同士でも日常的に行っていることです。小さな子どもと話すときには難しそうな言葉は使わないとか、趣味が違う友だちに自分の趣味の話をするときには専門用語は使わないとか、耳が聞こえにくい人と話すときにはゆっくりはっきり話す、などなど当たり前に行っていることの延長線上の調整です。日本語が母語でない人が相手なら、その人の日本語レベルを確かめながら調整して話すことになるでしょう。会話は中身が大切です。ルールやコツにあまりこだわりすぎないで、いろいろな人とたくさん話すことで「やさしい日本語」のコツがつかめてくるでしょう!そして何より一番大切なのは、相手の立場に思いをはせる「優しい」気持ちと態度です。
※「やさしい日本語」は弘前大学社会言語学研修室の佐藤和之教授によって阪神淡路大震災を機に外国人の減災を目的に考案され、佐藤教授とゼミの学生の方々によって研究されてきました。
やさしい日本語のコツ <みかたさ(味方さ)>
み:みじかい文で
1文に情報は1つ
か:かんたんな言葉で
熟語(漢語)ではなく、やまと言葉(和語)で
カタカナ語は避ける
擬音語・擬態語は避ける
例)「ズキズキ痛い」「そっと触る」などは避ける
敬語・タメ口は避ける(「~です・~ます」で)
た:例を出す(たとえば)
具体的な例をたくさん出す
さ:省略しないで、さいごまで
「だれが、どうした」「なにが、どんなだ」をきちんと言う
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画像や動画を使って!
下に練習問題がありますので、チャレンジしてみてください!
やさしい日本語
「やさしい傾聴」とは、相手の話を「積極的に聴く」ことです。「積極的に聴く」とは、相手を尊重して、理解しようとすることだと思います。「やさしい日本語」だけでは相手は聴くだけで、受け身になってしまいます。お互いに理解し合うためには、一方的なコミュニケーションではなく、ことばのキャッチボールをしながらお互いに話すことが大切だと思います。そこで、「やさしい傾聴」です。カウンセリングなどの傾聴とは少し違います。ここでは「やさしい傾聴」のコツを3つ挙げてみました。
自分の伝えたいこと、自分自身のことを話すということは、日本社会の中で受け身ではなく、「自分らしく」生きていくために必要なことだと思います。でも、自分の母語ではない言葉で話すのは、難しいこともあるでしょう。相手が話しやすいように、ぜひ「やさしい傾聴」で会話をしてみてください。
自分が外国語で話すとしたら、相手にどうしてほしいか、想像することが大切です。
やさしい傾聴
やさしい傾聴のコツ
Ⅰ 聴く
やさしい傾聴のコツ
・あいづちを打つ(聴いていますというサイン)
・相手の話を理解したことを、はっきり伝えながら聴く
・相手の話が分からないときは、繰り返したり、確認したりする
Ⅱ 待つ
外国語で話すときには、自分のことばで話すときより、考える時間がかかると思います。ですから、相手が黙っているときは、言葉を探しているのかもしれません。
・笑顔で待つ
・いつもより少しだけ長く待ってみる
・でも、困っているときは、積極的に手助けする
Ⅲ 広げる
会話しているときは、相手に興味を持つと、会話を広げることができます。会話を広げるときに知っておくと便利な<質問のコツ>を紹介します。
<質問のコツ>
2種類の質問を相手や話の内容によって使い分けて、話を広げてみましょう!
簡単な質問:答えが「はい/いいえ」や、ひと言で終わるもの ←答えるのは簡単。
(例:今朝、朝ごはんを食べましたか。/何が好きですか。)
複雑な質問:自由な答えのもの ←話が広がるが、答えるのは難しい。
(例:どうして、それが好きなんですか。/駅まで、どうやって行きますか。)
参考:栁田直美さん「日本語教育経験のない母語話者の情報とり方略に非母語話者との接触経験が及ぼす影響」2011『日本語/日本語教育研究』
やさしい日本語の練習をしてみましょう!
やさしい日本語に言い換えてみてください。答えは一番下にあります。
1.単語
①両親 →?
②避難 →?
③セルフサービス →?
2.文
①いつ来日されたんですか。 →?
②レジでの両替はご遠慮ください。 →?
③何か食べられないもの、ある?。 →?
やさしい日本語の練習の答え
ここに解答例を挙げましたが、正解は1つではありません。相手の日本語レベルや出身によっても、「やさしい」レベルや何が「やさしい」のかが変わります。ですから、これらの解答例で理解してもらえないことも、もちろんあると思います。いろいろな人とたくさん話して慣れること、そして、相手に伝えたいという気持ちと理解しようという態度が望まれます。
1.単語
①両親 →お父さん、お母さん/父、母 (解説:具体的な例を挙げると分かりやすいです。これは簡単でしたね。(^_^)v)
②避難 →逃げます。地震、津波のとき、逃げます。 (解説:漢語の言葉は難しいので和語を使ったほうがいいです。ただし、中国の方など漢字圏出身者は漢語のほうが簡単な場合もあります。)
③セルフサービス →レストラン。水、お茶、自分でします。ガソリンスタンド。自分でします。 (解説:カタカナ語は注意が必要です。和製英語や発音が違うことなどで、英語話者でも理解できないことがあります。また、漢字圏出身者にはとても難しいです。)
2.文
①いつ来日されたんですか。 →いつ、日本に来ましたか。今年?2023年?何月?11月? (解説:「いつ」が分からない場合には具体的に。「来日」は漢語なので和語に。「されたんですか」は敬語なので難しいです。敬語ではなく「です・ます」を使って丁寧な態度で話せば配慮していることが伝わると思います。)
②レジでの両替はご遠慮ください。 →ここで両替はできません。1000円を100円10枚にできません。100円を10円10枚にできません。ダメです。すみません。 (解説:「両替」は具体例で。「ご遠慮ください」のような婉曲的な表現はストレートな表現に言い換えます。)
③何か食べられないもの、ある?。 →〇〇さん(相手の名前)、ダメな食べ物、ありますか。食べることができません。豚肉、大丈夫/OKですか。ダメですか。 (解説:日本語は主語を言わないことが多いですが、主語がないと分かりにくいです。だれのことを話しているかはっきり伝えると分かりやすくなり、理解するための負担が少なくなります。「食べられない」よりも「食べることができない」のほうが「できない」という言葉があるので意味が理解しやすいです。ジェスチャーも有効です。また、「ある?」のような友達に話すような表現よりも「です・ます」の文で話したほうが分かりやすい場合が多いです。それに、外国人だからといって、まだ友達でもない相手に対して”親しみを込めてタメ口”を使うより、相手を尊重した態度で接したほうがいいのではと個人的には思っています。「豚肉」などの具体例を挙げることは理解の助けになります。)
いかがでしたか。
もっと練習してみたい!という方は、ぜひ上のリンクのサイトにアクセスしてみてください。
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